マツをよ~く見てみよう!
~マツの花の観察と裸子植物~
松の花、知ってますか?どんな形?どんな色?前回は被子植物の花について調べましたが、今回は裸子植物について勉強をします。前時の内容は少し盛り沢山だったりしますので、前回の復習から始めてみてもいいと思います。中学校1年生では漢字の定着率もかなり違います。例えば「胚珠」「子房」などテストでよく問われるものについては改めて確認をしてほしいと思います。
さて今日は「マツ」です。私も学校の教員になるまではマツの花なんか見たこともないし気に留めたこともなかったのですが、教える立場になって裸子植物の花について少し興味を持って街中で観察するようにしています。とはいえ、やはり形が地味でなんとなく気持ちも華やかになれないのが事実です。これが写真や映像だけだとさらに気持ちは上がりません。いつも同じことを繰り返し言っていますが、理科は実学です。できるだけ実物を生徒たちに見せて何かを感じてもらうことから始めなければいけません。マツの花の入手先については足で稼ぐしかないと思います。私がチャンスだと思うのは家庭訪問のある学校であれば地域巡回を否が応にもしなければならないと思います。その際、昔からある一軒家やお庭の立派なお家、小学校や公共施設など、様々な場所の植生を見てみると面白いと思います。目線を上げると結構色々な樹木が計画的に植えられていることに気づくと思います。また、季節の移り変わりも感じることができますので、ついでに心を癒してほしいなと思います。
マツについては立派なお庭を持っているおうちにある確率が高いです。一軒家が集まっているところにはかなりの確率で植木屋さんが地元に根差した形で営業をしております。飛び込み営業ではありませんが、自分の名前が書かれた学校の名刺を持参して直接お願いに上がっています。「授業で子どもに本物を見せたい」その一心を伝えることができれば比較的受け入れてくださることが多いと思います。3月ぐらいから松の花が欲しいと現物もしくは教科書の写真を持ってお願いしておくと廃棄処分されるはずであった切れ端をあつめておいてくれたりもしました。また珍しい松ぼっくり(ヒマラヤスギの超でっかいやつ)を大量にいただいたこともありましたので、是非ダメ元でチャレンジをしてみてください。ただし、あまり失礼のないようにお願いをしてみましょう。なお、もし可能であれば先端の部分だけではなく少し根元の松かさ部分からもらえると、雌花の成長の様子も見ることができます。今年の花、去年花だった部分が成長したもの、そして「まつかさ(松ぼっくり)」として種子を飛ばす部分ができている様子と3年分の成長が見られることが望ましいです。
実際の授業は結構地味な形になってしまうと思います。花やまつかさの切断は状態の良いものをひとつだけ教師側で演示用につくっておくだけでいいと思います。実際にピンセットやカミソリを使ってもなかなか手ごわい代物ですので生徒にやらせてもあまり効果ではないと思います。マツにこだわるのではなく、スギやソテツ、ヤシなど別の角度から授業を作ってもいいかと思います。ちなみに今回の授業の内容を板書で済ますことも全然普通だと思います。しかしそれで何か感動が得られるとは思いません。また定着する知識に変容するとも思いません。身近な自然を感じることを目標に我々教師側がひと手間かけて授業準備をすることが大切なのではと思います。NHKの番組を見せても構いませんし、学研とか講談社の作っている図鑑シリーズのDVDはかなり秀逸です。本当に素晴らしい植物の映像がたくさん出てきますのでそれらを見せて時間を使うのもアリだと思います。
また、受粉の方法から植物の生存戦略について考えてみてもいいかと思います。かなり前の話になりますが「受粉ゲーム」ということものをやったことがあります。私が「めしべ」となって上にバケツや透明大型水槽を持って教室の真ん中の机の上に乗ります。生徒は「おしべ」になり黄色のテニスボールやソフトテニスボールを私の頭上にある入れ物に向かって玉入れをするというものです。完全に若気の至りでしたが、かなり盛り上がって面白かったです。ちょっと盛り上がりすぎて隣の教室の先生が怒鳴り込んできたり、私の顔面に直撃したりといろいろハプニングがありました。授業のねらいは「風媒花」は受粉の効率が悪いということを言いたかったのですが、この実験でも本当に効率が悪いです。そういった植物の子孫の残し方の変異についてもどこか授業で触れることができればと思っています。おすすめはNHKスペシャル「生命」の第4集の「花に追われた恐竜」というストーリーです。植物の単元の最後で見せるのもありかと思います。花というものがどういった形で進化してきたのかということを学べる良い機会だと思います。内容は中学1年生にはちょっと高度かもしれませんが、理科や恐竜好きの子供達は食いつくように見て大量の感想文を書いてきたことが印象的です。やはり優れた映像作品は優れたシナリオあってのものです。私達の授業も私たち自身で優れた内容構成をしていきましょう。