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タヌキとハクビシンの骨パズル
~若かりし頃の姿にもどしてあげよう~
![骨パズル.jpg](https://static.wixstatic.com/media/cf8aee_ab7c7265a0e04e3ebecfcab9d9cb4c8f~mv2.jpg/v1/fill/w_65,h_90,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/%E9%AA%A8%E3%83%91%E3%82%BA%E3%83%AB.jpg)
川崎宙と緑の科学館には「ワクワクドキドキ玉手箱」という事業があり、小中学生を対象にした理科の実験ツールがあります。その中での1つの「たぬきとハクビシンの骨パズル」を中学校の授業でやっています。これは実際の動物を骨格標本にして、組み立て式のパズルを作成したものです。一体約500,000円以上かかっているというお話を伺って、実施するのをためらったりもしましたが、それだけ価値のあるものを生徒に提示することで感動を得られるはずと思って実施に踏み切りました。結論から言うと、やはり本物(リアル)の迫力は何モノにも変えがたいパワーがあることを思い知った授業です。
まずはタヌキやハクビシンについての目撃情報や知っていることを聞きます。その後、活動の様子を動画で見せます。実際にどのような形で街中にいるのかをイメージしてもらうことがねらいです。YouTubeなどで検索するといろいろなものが出てきますので短時間で視聴しましょう。ちなみにこの標本の骨格標本のもとの個体は川崎市で採取されたものです。
今回の授業は脊椎動物のからだのつくりと関節の仕組みを理解することです。そのための方法として今回の実験を企画しましたが、実際の骨パズルはかなり難易度が高いです。ある程度、教員側がナビゲートしながらやる必要がありましたので詳しく解説をしていきます。
① 脊椎の並びの確認
背骨から腰骨にかけての脊椎の並びを確認します。骨の形状の連続性をきちんと見極めることが重要です。2つのブロックに分かれていますが、たった2つでさえ、どちらが首の方向なのかで悩みます。観察の視点を改めて意識させましょう。
② 中枢神経を含む脊椎の連結
脊椎動物の首の骨の数は7個と言われています。首の骨の数とその並び順の検証と、①で組み立てた脊椎からの連続性を考えます。頭蓋骨をなめらかに動かす構造にもなっているので、どのように連結していたのかも考えなければいけません。
③ 腰骨の設置と尾骨の差し込み
後ろ脚に接続するための腰骨がどのような形でくっついているかを考えるものです。今回の骨パズルについては背骨と腰骨を設置する台座がついているので、だいぶわかりやすくなっています。
④ 後ろ脚の接続
腰骨に後ろ脚がどのように付いているかを考えます。骨の本数や膝関節、指の向き、可動域など様々なことを考慮しながら接続していきます。実際に自分たちの骨とその動きと比べながら考えることがポイントになります。
⑤ 肋骨と肩甲骨と前脚の接続
今回の実習で私が1番感心したのが、肩甲骨の役割でした。私の理解が浅かった事もありますが、腕の根本が肩甲骨と連結しているようすが驚きでした。理科の骨格標本をもう一度見直してしまいました。野球の「マエケン体操」やテニスのサービスなどでスムーズに動いている腕の土台となる肩甲骨の謎がようやくわかりました。
⑥ 前脚の接続について
後脚とほとんど同じです。正確に組み立てることができているのかの確認のために、ぜひ自分自身で四つん這いになってその可動域、膝関節、腕関節の曲がりかた、指の向きなど様々なポイントを確認してください
全て完成すると、きちんと四足歩行で動く様子も再現できるという優れものです。川崎市の財産である「ワクワクドキドキ玉手箱」の「たぬきとハクビシンの骨パズル」。ぜひ体験してほしいと思います。
ちなみにちょっと小言です。日本政府がきちんと教育にお金をかければ国立科学博物館などで標本の貸し出しが再開されると思います。全国各地の科学館や博物館が配当される予算不足に悩んでいます。もちろん公立中学校も小学校も高等学校もさらには大学まで予算不足にあえいでいます。教育に予算を割かない国の未来が心配です。