軟体動物の観察③
~ホタテの観察と解剖~ 新学習指導要領では2年から1年に移行

一昨年度、一緒に働いていた臨任の若者がチャレンジした授業をリメイクして行ってみました。軟体動物の解剖は教科書にアサリとイカが載っています。皆さんもご存知の通り、あさりは小さすぎて観察が非常にやりづらく、細かな器官を同定することが中学生にはとても難しい作業でした。動画を集めてみたり、1人1つにしてみたりとちょっと考えてできる工夫はしてみましたが、何より自分の中の情熱が湧きにくく、お蔵入りすることに決めました。そんな中で若者が挑戦したホタテの観察については、私自身改めて発見することも多く、生徒に見せたいなと青森県人の血が騒ぎ出しました。

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解剖実習はただバラバラにしていくのではなく、ホタテの生活についても考えさせたいのでPowerPoint等で簡単な資料を作り、ホタテクイズなどを出しながら海中での活動の様子などをイメージさせたいところです。私が用意した動画はYouTubeで発見したトリビアの泉のホタテのトリビアです。約1分20秒の動画でしたが、ホタテが海中を俊敏に泳ぎ回ること、外套膜に目が約100個点在していることなどを説明してくれています。生徒にとってはイメージを覆す意外なトリビアのため、この後の観察に向かう気持ち満々で始めることができました。

実際の解剖の手順はプリントの通りですが、空を開けるところがやはり大変です。カミソリで腱を切るときの取り扱い、ヘラ(薬さじで代用)の扱いなど生徒が怪我をしないようにできるだけわかりやすくこちらで説明する必要があります。動画を撮っておくことなども必要かと思われます。

何はともあれ、殻が開いてしまえば後は楽しい時間が過ごせます。プリントの手順に沿って作業を進めていけばいいのですが、あさりと同様に内臓系がとてもわかりにくいので、ネットに載っていたホタテの解剖図の写真やスケッチなどをコピーして生徒に配布しておきます。同定作業については解剖実習においてとても有効なことだと思われますので、生徒は興味を持ってやっていました。

 

授業の流れは以下に示すとおりです。

① ホタテの上下を正しく置いてみましょう。どちらが上かわかるかな。色や模様に注目!

 

② ヘラを使って触手(ひも)に触ってみよう。ホタテはどんな反応をするかな。

 

③ 2枚の貝殻はちょうつがいの靱帯でつながっています。指を挟まれないようにカミソリを軽く入れ靱帯を断裂させましょう。 

 

④ 靱帯断裂しても貝殻はつながったままです。これは閉殻筋(貝柱)という筋肉によるものです。 

 

⑤ 左殻側の閉殻筋をヘラを使って剥がしてみましょう。きれいにはがせたら内蔵の様子を見てみましょう。

 

⑥ 生殖腺を見てオスかメスか判別しよう。オスは白色、メスはオレンジ色です。

 

⑦ 上側の外とう膜(ヒモ)を外しましょう。ホタテの目を見てみよう。外とう膜にある黒いツブツブはすべて目です。何個あるかな。

 

⑧ 心臓の動きを見てみよう。心臓をおおっている膜をうすく切り、心臓がむき出しになるようにしましょう。心臓を傷つけないように気をつけてね。1分間にどれくらい動いているかな。

 

⑨ 口と肛門に着目すると、口が左側にあり、肛門が右側にある。つまり右図のようにヒトで例えると左側に頭を向けて横になっている状態です。

 

⑩ 閉殻筋(貝柱)を触ってみよう。貝の中でもっとも大きく、強力な筋肉を触ってみよう。ここに電池を当ててみよう。どんな反応をするか観察しよう。

 

⑪ スケッチをしてみましょう。ホタテの足はどこにあるか探してみよう。

 

⑫ 貝殻に塩酸をかけ、出てくる気体を調べてみよう。

 

⑬ 貝殻の模様や色の違いの原因を考えてみよう

 

生徒たちが盛り上がった瞬間はホタテが生きていることを実感するところです。

クライマックスは貝柱に電流を流し、筋肉を動かす実験。目の個数を数える部分、スケッチのときに資料と実物を見比べる場面の3つかと思います。

心臓の運動については1分間に1・2回程度しか動かないので、じっくりとした観察眼が必要です。ある程度場所を特定した上で、新鮮で活きの良い個体を観察することができればうまくいくような気がします。

 

最後に補足実験として入れた貝殻に塩酸をかけてみると所では、昨年度の石灰岩の話を改めてしてみました。貝殻の表面に付着したものが取れたり、表面が削れて脱色したりする様子は、予想できてわかってはいてもやっぱり実験している感じがするようです。間に合わせでなんとなく思いついたままプリントには載せましたが、思いのほか好評でこちらが驚いています。なお川崎市には日本理化学工業株式会社というチョークの製造会社がございます。少し前に世界一幸せな会社として、障がい者雇用を積極的に行っていることで有名になっています。このチョークの材料がホタテの貝殻です。そのこともゆるく抑えつつ、ホタテをまるまる1匹余すことなく学習につなげることができました。

 

私は青森県の八戸出身で、ホタテやイカがあまりにも身のまわりにありすぎて、まさか自分が理科の先生として生徒に教えるなど夢にも思いませんでした。次回はエビの観察またはイカの観察になります。夏から秋に変わる時期に生物のからだのつくりのまとめとなるように、授業もクライマックスに向けて盛り上げていきたいものです。

 

久しぶりに食べた活きホタテは絶品でした。お刺身はもちろんのこと、三脚と金網とガスバーナーでお約束の殻焼き最高でした。バターと醤油も忘れずに。先に貝柱と殻をはがしておくことがコツです。加熱によって口がパカッと開く様子でホタテが生きている!などとアホみたいな感想を持ってしまった今日この頃です。ごちそうさまでした。もちろん生徒は食べてません。残念っ。

 

授業の詳細は以下の通りです。

 

 

理科室の入り口でいつも通りプリントを1人1枚持って着席するのですが、そのプリントの近くにまるでお魚屋さんのようなホタテコーナーを作り、新鮮さをアピール。発泡スチロールの蓋に10枚ほど並べておけばインパクトは十分です。教科書に掲載されている軟体動物の記述部分を読み、重要用語の確認を行っておきます。ホタテの入手方法については新鮮さにこだわり、活きホタテをネット注文しました。机の上にそっと置いておくと、地味に口を開けたり閉じたりする様子が生徒の心を引きつけています。また、授業の早い段階で動かなそうなホタテが生きていることを実感させるために、貝殻の隙間にピンセットや薬さじなどでホタテ本体を刺激し、殻を閉じさせたりすると生きているとはわかってはいながらとてもびっくりします。ホタテに対する興味関心の高まりをここでも感じることができます。